2023年JKA小中全国大会 留守番チームのふりかえり

※個人の感想です

8月5日(土)と6日(日)の両日、福岡市総合体育館を会場に、文部科学大臣杯 公益社団法人日本空手協会 第65回小学生・中学生全国空手道選手権大会が盛大に開催された。私の所属している支部からも4名の選手が出場し、それぞれ健闘してきたそうだ。

北海道大会に向けての稽古から数えると約半年間にわたって各選手は奮闘努力してきたが、それを見守ったり相手したりした私達にも、それなりの葛藤のようなものは少なからずあった。

最初から諦めないこと

世の中には保身にまわって如何に波風を立てぬかを考える人は少なからずいるだろうし、そういう雰囲気が漂ってくると「どうせ◯◯だから無理」と最初から勝負 (誰との?) に敗れることがままある。自身が (空手以外の場所で) かつてそういう場に身を置かされたことがあったように、「どうせ地方だから無理」「どうせ田舎の人間が勝てるわけない」なんて雰囲気になってくるとやる気も何もなくなってしまい、果てには「もう出なくていいんじゃないか?」というような感じにはなる。試合の前から自分に負けてどうするんだ。

こういうのは大抵の場合は大人がそういう考えになるからそうなるのであり、また端から勝負のことばかり考えているからそうなるのだろうとは思う。協会の大会は競技じゃなくて試合なのだからせいぜい試し合えば良いとは思うし、ここで松濤翁二十訓の『勝つ考は持つな 負けぬ考は必要』が一気にリアリティを帯びてくる。

数稽古でも……

どうしたら負けないのか、特に、どうしたら自分に負けないのか、と考えると、自信を持つことが一番のように思われる。練習という文字が練って習うと書くように、数をこなして練って練って……と繰り返していくのが最短最善に思われてくるのだけれども。今はそういった昭和平成のやり方じゃダメなのかしら。

(夏の甲子園では短い練習時間でも出場したK高校が話題になっているけれど、彼らは長い間練習を繰り返し活躍してきた経歴があるので、結局そういうことなのだろうと思う。)

最後は押忍

その他諸々考えたことはあったのだけれど、一言で、何が大事だったのだろうかと思うと「押忍だなぁ」「押忍だよ」と思った。

この道の大先輩でミスター押忍と呼ばれる人がいらっしゃるが、とにかく、押忍は押忍だから押忍なんだよ。やっている人にしかわからない、押忍は押忍なのだから押忍が押忍で押忍なんだから、ああ押忍はやっぱり押忍だから、押忍なんだなぁ、という世界は間違いなくある。

といってもなんとかして言語化はしたい。えぇとですね。
稽古がある程度まで進んできたら、それからはもう各自の押忍にかかっているわけで、相手がどうかとか、順序がどうかとか、くじ運がどうかとか、そういうのはもう一切合切関係なく、自分との闘いになってくる。そうするともう最後は押忍しかない気がしてはきた。

ある中学生と雑談している際、「全国出場選手は何が違うんですかね?」と問われ、間髪入れずに「押忍だなぁ」と一言返してしまったくらいには、大事なものだと思う。

勝った?

三十代半ばのオッサンとしては、まだまだ若い小中学生たちには「どうか悔いなく試合に臨んでほしい」という気持ちひとつで、純情に戻りたい心と、思うように動かない体とをもって、彼ら彼女らと一緒に稽古をしてきたのだけれど、その結果如何。

4回戦 (3戦目) まで健闘した選手、1回戦で敗れた選手等々、戦績はまぁ置いといて! 大会数週間前まではあまり自信のなさそうだった選手に聞いてみた。

「試合どうだったの」
「負けました」
「技ありひとつくらいとれた?」
「いや……」
「試合には負けたけど、自分には勝ったの?」
「はい!」

この返事ひとつで「あぁ、よかった!」と思った。

『技術より心術』の武道空手はまだまだ続く。